制　作：　1963年　アメリカ　　　　上映時間： 113分
  監　督：　スタンリー・ドーネン
　音　楽：　ヘンリー・マンシーニ
  出　演：　オードリー・ヘプバーン、ケーリー・グラント、
　　　　　  ジェームス・コバーン、ウォルター・マッソー

あらすじ

　フランスのスキー場に来ていたレジーナ（A・ヘプバーン）はピーターと
名乗る初老の男（C・グラント）と知り合ったが、夫との離婚準備のため、
パリに戻った。しかし、パリの家の中の家財一切なくなっており、レジーナ
は茫然とする。そこに司法警察の警部が来て、夫が列車から突き落とされて
殺されたことを知らせる。葬儀の場で怪しげな男が３人現れ、金の隠し場所
を教えろと言って去った。そこにアメリカ大使館からの連絡でレジーナに
CIAから呼び出しがある。アパートに戻ったレジーナを事件を知ったピーター
が訪ねて来て慰め、ホテルを手配する。CIAのパーソロミュー（W・マッソー）
を訪ねたレジーナは夫が公金25万ドル着服したので指名手配中であることを
知らされ、金の所在を聞かれる。何も知らないレジーナは正直に答えるが、
パーソロミューは３人の男が金を狙っているから気を付けるよう警告する。
３人の男とはギデオン、テックス（J・コバーン）、スコビーと知らされる。
　レジーナを慰めようとピーターは、クラブに案内するが、先の３人の男が
現れ、しつこく金のありかを聞く。レジーナはホテルに戻るが、そこにも男
たちが現れ、レジーナを脅迫する……

解説

　日本ではA・ヘプバーンの代表作は、「ローマの休日」と多くのフアンは
答えるが、アメリカでは「シャレード」の方が人気が高いという。アメリカ
人は「ローマの休日」の少女っぽいヘプバーンより、ジバンシーのデザイン
した衣装に身を包み、成熟した女性の香気溢れる「シャレード」のレジーナ
に心惹かれたようである。
　原題は“謎とき”（charade）。アメリカの公金25万ドルの行方をめぐり、
１人の美女と５人の男たちが繰り広げるサスペンス映画だが、監督がミュー
ジカル映画の達人スタンリー・ドーネンだけに、軽妙なミステリー映画に仕
上げた。
　美女A・ヘプバーンにからむ主役がC・グラントとくると、A・ヒッチコッ
クの「断崖」を思い起こすが、C・グラントは悪人の一味か、はたまた、レ
ジーナの味方なのか、はらはらさせながらラストまで種を明かさない。ヒッ
チコックのサスペンス映画と一味、二味違う映画である。音楽はヘンリー・
マンシーネで、ロマンチック・サスペンスのムードを高めた。
　スタンリー・ドーネン（1924〜）はハリウッドきってのミュージカル映画
の名手。代表作は「踊る大紐育」（1949）、「雨に唄えば」(1952）である
が、ヘプバーンと組んでは「パリの恋人」（1957）がある。