鑑賞映画解説201112

鑑賞映画の解説

めまい
TVERTIGO
＜鑑賞日：2011・9・26＞


  制　　作：1956年　アメリカ 　　 上映時間：128分
  監　　督：アルフレッド・ヒッチコック
　原　　作：ピエール・ホワロー＆トーマス・ナルスジャック「死者の中から」
　出　　演：ジェームス・スチュアート、キム・ノヴァク

あらすじ

　ジョン・ファーガスン（愛称スコッテイ）（Ｊ・スチュアート）は、高所恐怖症に気が付き刑事を退職していたが、　学友の造船業を営むエルスターに呼び出される。彼の妻マデリーン（Ｋ・ノヴァク）に死んだ人間が取り付いて、危険が及んでいると聞かされる。そこで、元刑事のスコッテイに秘密裡に調べてもらいたいとの依頼である。やむなく引き受けたスコッテイは、その夜マデリーンを見て、その美しさに魅了される。翌朝、スコッテイは高級アパートから出てきたマデリーンを尾行する。グリーンのジャガーから降りた彼女は花屋で花束を買うと、墓地に向かい、ある墓の前で立ち止まってじっと見ている。墓には「カルロッタ・ヴァルデス　1931年12月3日生まれ、1957年3月5日没」と刻まれていた。次にマデリーンが向かったのは在郷軍人会館の画廊で、そこに展示されているある婦人の肖像画の前に座ってじっと見いっている。肖像画の女はマデリーンが買ってきたのと同じ花束を持ち、マデリーンと同じように髪がカールされていた。スコッテイがガイドに画のことを尋ねると「あれはカルロッタの肖像」だという。　マデリーンはそのあとに立ち寄ったのは古めかしい”マクキトリック・ホテル“である。スコッテイが調べると、このホテルはある男が　カルロッタのために建てた屋敷のあとだとわかる。翌日も彼女は画廊でカルロッタの肖像に見入り、その後、ゴールデン・ゲート・パークに向かい、サンフランシスコ湾に花束を投げ入れた後、突然海に飛び込んだ……

解説

　フランスのミステリー作家、ピエール・ポアロー＆トーマス・ナルスジャックの小説『死者の中から』をＡ・ヒッチコックが監督したサスペンス映画の傑作である。一人のヒロインが二人の人物を演じるというトリックを使い、主人公を証人に仕立てて完全犯罪をもくろむ物語である。しかも、ヒッチコックは途中でトリックの種明かしをしながら、二転・三転のどんでん返しを用意するという大胆な構成でサスペンス映画の醍醐味を充分に堪能させてくれた。　キム・ノヴァク（1931～）　チェコ系アメリカ人。モデル時代にスカウトされ、コロンビア映画の徹底した管理の下、ダイエットや歯の矯正を行い、その妖艶な美貌で人気を集めた。1950年代に多くの映画に出演し、『ピクニック』 (1955)、『愛情物語』(1956)、『めまい』などの作品は日本でも大ヒットした。