鑑賞映画解説201114

鑑賞映画の解説

愛と追憶の日々
Terms　Of 　Endearment
＜鑑賞日：2011・10・24＞


  制　　作：1983年　アメリカ 　　 上映時間：132分
  監　　督：ジェームス・Ｌ・ブルックス
　原　　作：ラリー・マクマトリー
　出　　演：シャーリー・マクレーン、デヴラ・ウインガー
　　　　　　ジャック・ニコルソン
　そ の 他：アカデミー作品、監督、脚色、主演女優（Ｓ・マクレーン）
　　　　　　助演男優（Ｊ・ニコルソン）受賞

あらすじ

　アメリカ、テキサス州ヒューストンに住むオーロラ（Ｓ・マクレーン）は、早くに夫を亡くし、娘のエマ（Ｄ・ウインガー）と二人暮らし。姉妹のように仲が良い。しかし、エマは大学で文学の教員のフラップと結婚することとなり、それがオーロラは気に入らない。大学の教師では男として野心がないということから、結婚式にも出ず、祝福の言葉も言わない。しかし、いつも口喧嘩をしているが、二人の愛情は深いところで繋がっている。二人は和解して以前のように仲良くなる。オーロラの家の隣に宇宙飛行士のギャレット(Ｊ・ニコルソン)が引っ越してくる。独身のギャレットは女友達との交際で忙しい。　フラップの勤務先の大学が変わり、エマの家族は引越した。一人になったオーロラは隣の住人の宇宙飛行士のギャレットと親しくなり、いつしかギャレットを愛するようになった。新しい大学に移ったフラップは浮気を始め、夫の浮気に気づいたエマは中年の銀行員との情事を重ねる。そんなある日、エマは自分がガンに冒されていることを知った。

解説

　33年間の母と娘の愛の軌跡を描いた作品である。70年代のアメリカ映画は、『クレイマー・クレイマー』のように家族の崩壊をテーマにした映画が多かったが、この映画は母娘の変わらぬ絆の強さを訴えている。監督のＪ・Ｌ・ブルックス（1940～)はテレビ映画畑出身の才人で、この映画が第１回監督作品にもかかわらず、母娘の日常を積み重ねることで、娘を失う母親の苦しみと、幼い愛児を残してこの世を去る若い母親の悲しみを丁寧に描いた。ともすれば暗くなりがちなストーリーをＳ・マクレーン(1934～)とＤ・ウインガー(1955～) という個性派俳優を揃え、それに彩として、更に個性の強いＪ・ニコルソンを加えて、心温まるヒューマンドラマを作った。　母親役のＳ・マクレーン（1934～）は、オファーを受け、脚本を読んで、すぐ出演を決め、撮影開始までの２年間、他の映画の出演を断ってこの作品に備えたという。娘への愛と、老いに直面する女性の苦悩を見事に表現し、この年のアカデミー主演女優賞を獲得した。この映画はこのほか、アカデミー作品、監督、脚色、助演男優（Ｊ・ニコルソン）賞を得ている。