鑑賞映画解説201121

鑑賞映画の解説

ジュリア
JULIA
＜鑑賞日：2012・2・13＞

  制　　作：1977年　　アメリカ
  監　　督：フレッド・ジンネマン
　原　　作：リリアン・ヘルマン
　出　　演：ジェーン・フォンダ、ヴァネッサ・レッドグレイヴ
　　　　　　ジェイソン・ロバーツ
　そ の 他：アカデミー助演女優（Ｖ・レッドグレイヴ）、助演男優（Ｊ・ロバーツ）
　　　　　　脚本賞受賞

あらすじ

　1934年、アメリカの著名な劇作家リリアン・ヘルマン（Ｊ・フォンダ）は、推理小説家のダシール・ハメット（Ｊ・ロバーツ）と同棲しており、処女作「子供たちの時間」書いていた。執筆の進まぬ合間に子供の頃からの親友のジュリア（Ｖ・レッドグレイヴ）を懐かしく思い出していた。大富豪の家に生まれたジュリアは、金持ちの祖父母を嫌っていた。早くから文学や詩に親しんでいたジュリアはリリアンをリードし、年頃になった二人は、将来を語り合うようになり、友情は深まった。オックスフォード大学に入ったジュリアはその後ウイーンに行き、そこで、ナチ政権に反対する地下組織と関わりあうようになった。
　リリアンの仕事がはかどらないことを心配したハメットからパリ行きをすすめられ、パリのホテルで仕事を続けた。その頃、ウイーンで暴動が起こり、200名が殺されたという新聞記事を読み、ジュリアの身の上を心配して、ウイーンに向った。ウイーンの病院で二人は再会するが、ジュリアは全身を包帯で巻かれ、口もきけない状態である。事情がわからぬまま、ジュリアは病院からいなくなり、行き先もわからず、やむを得ずリリアンはパリに戻った。
　1935年、アメリカに帰ったリリアンはハメットのすすめで劇を書き、その劇は大ヒットし、一躍リリアンは著名人になった。1937年、モスコーの国際演劇祭に招待されたリリアンは、途中パリでヨハンという若い男にベルリンにいるジュリアに5万ドルを届けることを頼まれた・・・　

解説

　劇作家、リリアン・ヘルマン女史の回想録「ペンティメント」の第１話「ジュリア」の映画化である。リリアンの親友のジュリアは大富豪の家に生まれながら、1930年代に反ファシズム運動に身を捧げ、ナチスによって殺される。少女時代から大学を経て、反ナチ運動にいたる毅然としたジュリアの生き方を、監督のジンネマンは、時代背景を綿密に考証し、完璧なリアリズムで描いた。この映画はアカデミー賞で11部門にノミネートされたが、パレスチナ解放機構（ＰＬＯ）支持派のレッドグレイヴが、助演女優賞にノミネートされたことにシオニスト（特にユダヤ人防衛連盟）たちが反発して、アカデミ式典会場の前で反対運動を展開した。レッドグレイヴは受賞後のスピーチでその動きを批判する発言をし、物議をかもしている。