鑑賞映画解説201122

鑑賞映画の解説

母なる証明
＜鑑賞日：2012・2・27＞

  制　　作：2009年　　韓国
  監　　督：ポン・ジュノ
　出　　演：キム・ヘジャ、ウォンビン

あらすじ

　韓国の小さな町で、母（キム・ヘジャ）は漢方薬店を営み、息子トジュン（ウォンビン）と二人で暮らしている。トジュンは少し知恵遅れだが、純粋無垢の心を持ち、母は息子との二人暮らしに満足している。ある日、トジュンは猛スピードで走るベンツに跳ねられそうになる。友人のジンテとゴルフ場まで追いかけて、男たちに仕返しをする。警察で男たちは油を絞られるが、トジュン達がベンツのサイドミラーを壊したことから、逆に賠償金を請求される。賠償金の工面にトジュンはジンテに会いに行くが、ジンテに会えず、酔って歩いていると女子高校生に出会う。声をかけたが無視され、返事の代わりに石が飛んできた。翌朝、女子高生の無残な死体がビルの屋上で発見される。警察は現場付近にトジュンの名前を書いたゴルフボールが落ちていたことから容疑者としてトジュンを逮捕した。トジュンは必死に抗弁するが警察は相手にしない。母は弁護士を頼むが、弁護士料が安いため役に立たず、母は一人で真犯人を探すことを決意する。
　まず、怪しいのはトジュンの友人のジンテと思い、密かにジンテの家に忍び込んで血の付いたゴルフクラブを見つけて、警察に届けるがこれも相手にされず、かえってジンテから賠償金を請求される。しかし、ジンテから、殺人犯は普通、死体を隠すのに人目を引くように屋上に置くのはおかしい。しかも、女子高生には以前からいろいろと噂があるので、彼女を調べる必要があるのではないかと言われ、母は女子高生の身辺を探ることにした・・・　

解説

　韓国映画界の新鋭ポン・ジュノ監督の2009年の新作。同年のアカデミー外国語部門に韓国代表として出品されたが、惜しくも賞を逃した。この映画は、息子が殺人の容疑で逮捕され、息子は殺人を犯すはずがないと信じる母親が弁護士や警察に無実を訴えるがその努力も無駄と知り、自分の手で事件を解決しようとする。ジュノ監督は「究極の母の愛を、極限まで母親を追いこんで描きたかった。人間の内面の心の闇を掘り下げたかった。」と語っている。この映画の母親の愛は正気ではない。最後に、真相が分かっていても母親は放火、殺人までして息子を守ろうとし、守りきる。ラストシーンのバスの中での母の踊りは安どの踊りであろう。

　キム・ヘジャ（1941～）　　韓国の母といわれる韓国映画界の大女優。ジュノ監督は彼女を尊敬し、この映画は最初からヘジャを想定していたという。

　ウォンビン（1977～）　　日本では韓流ブームの当初、韓流（はんりゅう）四天王の一人といわれた。兵役で軍に入るが、途中、膝を痛め除隊。復帰第1作がこの映画である。昨年主演した「アジショ」は同年度の韓国興業収入第1位を記録している。