鑑賞映画の解説

かもめ食堂
＜鑑賞日：2012・10・22＞ 
  制　　作：2006年　幻冬舎他（日本・フィンランド共作)　102分
  監　　督：荻上直子
　原　　作：群ようこ
　脚　　本：荻上直子
　出　　演：小林聡美、片桐はいり、もたいまさこ
あらすじ

　サチエ（小林聡美）は、フィンランドのヘルシンキで「かもめ食堂」という小さな日本食の食堂を開店したが客はなかなか現れない。1か月経って初めての客が来た。日本かぶれの青年トンミである。サチエは嬉しくなってコーヒーを無料でサービスした。トンミから「ガッチャマン」の歌の歌詞を聞かれ、思い出せずいらいらしていると、図書館で日本人女性ミドリ（片桐ハイリ）と出会う。もしやと「ガッチャマン」の歌詞を聞くと簡単に教えてくれた。ミドリは旅をしようと世界地図の前で目をつぶり、指したところがヘルシンキということで、はるばる来たという。サチエはミドリを家に招き入れ、ミドリはやがて食堂で働くようになった。マサコ（もたいまさこ）は両親を介護し、見送ってから一人、フィンランドに来たのだが手違いで荷物を紛失してしまう。荷物を探す間、「かもめ食堂」の手伝いをするようになった。サチエ。ミドリ、マサコの三人のかもめ食堂での生活が始まった。店も人気が出て、穏やかな日々が続く…… 　
解説

　不思議な魅力をもつ映画である。1時間40分の映画ながら、観る人の心を和ませ幸福感に満たす。東京のミニシアターで上映された際、日が経つにつれ女性客を中心にして口コミで映画の魅力が伝えられ、ロングランを続けた映画である。舞台はフィンランドの首都・ヘルシンキ。そこに日本料理店「かもめ食堂」を開店したサチコとミドリ、マサコの三人の女性に小林聡美、片桐はいり、もたいまさこという個性的な女優を配し、そのコラボレーションが絶妙でおかしく、独特の雰囲気をかもしだす。事件らしい事件は起こらず、単調な日々の繰り返しを温かい目でとらえた荻上監督の細やかな演出も素晴らしい。

荻上直子（1972年〜）：千葉大学工学部画像工学科卒。渡米し映画製作を学び、2003年『バーバー吉野』がベルリン映画祭で評価され、2006年の「かもめ食堂」が大ヒットする。小林聡美、もたいまさことのコンビで『メガネ』（2007年）を監督し興業的にも成功した。

小林聡美（1965年〜）：『3年Ｂ組金八先生』（1979年)のオーデションに合格し、生徒役でデビュー。大林宣彦監督の『転校生』（1982年）の主役に抜擢され、日本アカデミー賞新人賞受賞。1995年、三谷幸喜氏と結婚、2011年離婚。

片桐はいり（1963年〜）：成蹊大学日本文学科卒。劇団「ブリキの自発団』入団。映画出演も『コミック雑誌なんかいらない』（1986年）以来多数出演している。

もたいまさこ（1952年〜）：1972年頃より女優活動に入る。1979年、渡辺えりと共に「劇団３ｏｏ」を結成。映画出演多数。