鑑賞映画解説201217

鑑賞映画の解説

史上最大の作戦
The Longest Day
＜鑑賞日：2012・12・10＞

  制　　　作：1962年　アメリカ　　178分
　原　　　作：コーネリアス・ライアン｢史上最大の作戦｣
  監　　　督：ケン・アナキン、ベルンハルト・ヴィッキ
　　　　　　　アンドリュー・マートン、エルモ・ウイリアムス
　出　　　演：ジョン・ウエイン、ロバート・ミッチャム、ヘンリー・フォンダ
　　　　　　　エディ・アルバート、リチャード・バートン、クルト・ユルゲンス
　そ　の　他：アカデミー撮影賞（白黒部門）、特殊効果賞受賞

あらすじ

　1944年6月、フランス、ドイツ軍司令部。傍受したイギリスＢＢＣ放送が｢私はシャム猫が好き……秋の日のヴィオロンのためいきの……｣と伝える。情報将校がヴェルレーヌの｢秋の歌｣の第二節が送られてきたら24時間以内に上陸作戦が行われるという噂があるという。西部軍総司令官は暗号文を手にして、暗号を無視しろと部下に伝える。同じころドイツ総司令官のロンメルも、副官に嵐が近付いているから、この1週間上陸はないといい、ロンメルは妻の誕生日の祝いのため、休暇を取ってドイツに向かう。イギリスでは連合軍総司令官アイゼンハウアーが6月6日、嵐をついての上陸作戦開始を決断する。
　フランスのレジスタンスの隠れ家のラジオから、｢秋の歌｣の第2節「身に沁みてひたぶるにうら悲し」が流れ、隊員はそれぞれ持ち場に向かう。海を埋める輸送船団と護衛艦隊、空には空挺部隊が降下地点のサント・メールに接近し、落下傘が開く。沼に落ちる兵士、街中に降りる兵士、街にはドイツ兵が銃を手に空挺部隊の兵士を狙い撃つ。ノルマンディ海岸では、トーチカの銃眼から大船団を発見した将校は「進攻だ」と叫ぶ。艦砲射撃が始まり、上陸用舟艇が海岸に殺到し、上陸を開始する……

解説

　コーネリアス・ライアンによるノンフィクション「The Longest Day」を元に映画化された。40億円以上の巨費を投じた大作である。ケン・アナキンをはじめ4名の監督のもとに、ジョン・ウェイン、ヘンリー・フォンダ、ロバート・ミッチャム、リチャード・バートン等の大スターを揃えたまさにオールスターキャストの映画である。戦勝国側に立った映画であるが、ドイツ側の視点をも加え、ドキュメンタリー風の作り方は臨場感溢れる映画となった。
　戦争映画は、たとえ、勝利者側に立った作品であっても、リアルであればあるほど戦争の残酷さを消し去ることはできない。一つ一つのショット、例えばオマハ海岸の激戦や、立木にぶら下がった落下傘部隊兵士の死体など画面の示す、メッセージは強烈である。
　1998年、スティーブン・スピルバーグはノルマンディ上陸作戦を題材として「プライベート・ライアン」（主演トム・ハンクス）を監督し、その年のアカデミー賞で監督賞をはじめ5部門で受賞した。　