鑑賞映画解説201312

鑑賞映画の解説

リオ・ブラボー
Rio Bravo
＜鑑賞日：2013・9・23＞

  制　　　作：1959年　アメリカ　141分
  監　　　督：ハワード・ホークス
　音　　　楽：ディミトリ・ティオムキン
　出　　　演：ジョン・ウェイン、ディーン・マーティン、リッキー・ネルソン
　　　　　　　ウォルター・ブレナン、アンジー・ディキンソン

あらすじ

　メキシコ国境に近い町、リオ・ブラボーの保安官チャンス（ジョン・ウェイン）がならず者ジョー（クロード・エイキンス）を殺人の現行犯で捕えると、町のボスでジョーの兄のネイサン（ジョン・ラッセル）は大勢の部下とともに町を封鎖し、ジョーの引き渡しを求めた。チャンスは断固として断るが、実力で奪いに来た場合、味方は、アル中の助手デュード（ディーン・マーチン）と足の不自由な老人スタンビー（ウォルター・ブレナン）の二人だけである。見かねたチャンスの友人の幌馬車隊の隊長が助っ人を集めてみたが、逆にネイサンの手下に殺される。それを見た幌馬車隊の護衛のコロラド（リッキー・ネルソン）が保安官となってチャンスの部下になり、4人でネイサンに対抗する。それに、チャンスに惚れている女賭博師のフェザース（アンジー・ディキンソン）が味方に付いた。
　持久戦が続くうちに、デュードが敵に捕えられ、殺人犯ジョーと捕虜交換となった……

解説

　舞台はメキシコ国境に近い、無法者が闊歩するテキサスの町、リオ・ブラボー。保安官チャンスを演ずるジョン・ウェインが敢然として悪に立ち向かう。まさに西部劇の王道である。1952年、フレッド・ジンネマンが作った西部劇の名篇「真昼の決闘」は保安官のゲーリー・クーパーは市民の応援を求めるが、断られ、新妻と共に悪に立ち向かう映画である。監督のハワード・ホークスは「本物の保安官は町を走り回って市民に助けを乞うものではない」と言ってこの映画を認めず、あるべき保安官の姿をジョン・ウェインを通して描いたのである。ハワード・ホークスは「赤い河」（1948年）でジョン・ウェインと組み、ジョン・ウェインを西部劇の大スターとして育て上げたが、この映画では、ジョン・ウェインの保安官は仲間とともに悪に立ち向かい、相手を滅ぼすのである。仲間の保安官には歌手として人気の高いディーン・マーチンを起用し、また、二丁拳銃の若者コロラド役には当時18歳のアイドル歌手、リッキー・ネルソンを抜擢した。足は不自由だが口の達者な老看守スタンビーには西部劇の名脇役ウォルター・ブレナンを配し、緊張感を和らげる役割を与えた。女賭博師フェザース（アンジー・ディキンソン）とチャンスと不器用な恋もほほえましい。西部劇の音楽を数多く手掛けたディミトリ・ティオムキンは、この映画では「赤い河」の挿入歌の「ライフルと愛馬」をディーン・マーティンとリッキー・ネルソンにデュエットさせ、トランペットを有効に使った「皆殺しの歌」も決戦前の雰囲気を盛り上がらせた。