鑑賞映画解説2013142

鑑賞映画の解説

帰らざる河
River of No Return
＜鑑賞日：2013・10・28＞

  制　　　作：1954年　アメリカ　91分　シネマスコープ　カラー
  監　　　督：オットー・プレミンジャー
　出　　　演：ロバート・ミッチャム、マリリン・モンロー

あらすじ

　1875年、ゴールドラッシュに沸く西部。ロッキー山脈の麓の町。歌手ケイ（Ｍ・モンロー）は酒場で歌を歌い、9歳の少年マークを可愛がっている。マークは母親を亡くして、町の人たちの手伝いをしている。そこに息子のマークを探してマット（Ｒ・ミッチャム）が来た。マットは友人の危機を救うため人を殺して刑に服し、出所して息子を探しにきたのである。再会した二人は河のほとりで開拓に励む。そこへ筏で賭博師ハリーと歌手ケイがが流れ着いた。ハリーは金鉱区登記をする町に行くため寄ったのだが、マットを殴り怪我をさせ、銃と馬を強奪して逃げ出す。マットが怪我をしたので、ケイは手当てをするために残る。
　インディアンに襲われたので3人は筏で危険な河下りを始める。襲いかかるインディアンや野獣、そして激流。何度も危機を脱し、死線を突破した3人は町に着き、ハリーと対決する。父親の危機に父親を救うためマークはハリーを撃った。マットはマークとケイを馬車に乗せ、家路をたどるのだった。

解説

　監督オットー・プレミンジャーはオーストリア生れで、『黄金の腕』をはじめ幾多の社会派作品を生んでいるが、この映画は、同監督の唯一の西部劇である。社会派監督らしくこの映画では従来の西部劇の定番である保安官と悪者との対決や派手な撃ち合いは見られず、危機の相手はインディアンと野獣、激流である。そして、どのような危機にあっても自分の力で戦い抜く開拓者マットを迫力十分に描いた。
　　1953年公開の『ナイヤガラ』でハリウッド史上最高のセックスシンボルと言われたマリリン･モンローが熱演し、歌手として『帰らざる河』『私の要求』『1枚の銀貨』『ダウン・イン・ザ・メドー』の4曲で甘い歌声を聞かせてくれる。特に『帰らざる河』の人気は高く。日本でも石原裕次郎、雪村イズミ、ダーク・ダックスなど様々な歌手、グループにより繰り返し歌われている。
　ロバート・ミッチァム(1917～97)は『Ｊ・Ｙジョー』(1945)でアカデミー助演男優賞候補になるもマリファナ所持容疑で2年間投獄された。しかし、その後『史上最大の作戦』(1962)、『ライアンの娘』(1970)などの好演で逆境をはね返した。