鑑賞映画解説201315

鑑賞映画の解説

地獄の黙示録
Apocalypse Now
＜鑑賞日：2013・11・11＞

  制　　　作：1979年　アメリカ　153分
  監　　　督：フランシス・フォード・コッポラ
　原　　　作：ジョセフ・コンラッド『闇の奥』
　脚　　　本：ジョン・ミリアス、フランシス・フォード・コッポラ
　出　　　演：マーロン・ブランド、マーティン・シーン、ロバート・デュバル
　そ　の　他：アカデミー撮影賞、音響賞受賞

あらすじ

　ヴェトナム戦争後期、1969年頃、サイゴンのホテルで虚脱状態になっているウイラード大尉（マーティン・シーン）はある日司令部に呼び出され、カーツ大佐（マーロン・ブランド）を殺すようにとの密命を下される。カーツ大佐はウエスト・ポイント出身のエリート将校で、数々の武勲をたてながら突然グリーン・ベレーを志願してジャングルに入り、現地民を組織して独立王国を作り、軍との連絡をいっさい絶っているという。
　指令を受けたウイラードはシェフ、ランスら4人の部下を連れ、海軍の河川哨戒艇に乗り、ナング河をさかのぼりカンボジャのジャングルに向かう。途中、彼らは、サーフィンをしたいがために敵を攻撃するキルゴー中佐（Ｒ．デュバル）の掃討作戦に参加したり、ジャングルの中に突如登場する“ラスヴェガス”で踊るプレイボーイ・ガールとそれに熱狂するアメリカ兵を見たりする。指揮官のいない最前線でドラッグで神経を麻痺させながら戦っている兵士の姿も目撃する。ウイラードたちは更に奥地を進み、遂にアンコール・ワットを思わせる建物の中でカーツ大佐に出会った……

解説

　この映画はイギリスの作家、ジョセフ・コンラッドの『闇の奥』をもとに、コッポラは舞台をベトナムのジャングルに移し、大義なきベトナム戦争の狂気を描こうとした。
　1960年から約15年間続いたベトナム戦争はアメリカ兵の戦死者約5万7千人、負傷者約75万人、精神に異常をきたした者約14万人とアメリカに深い傷跡を残した。監督のフランシス・フオード・コッポラは『この映画はベトナム戦争そのもの、観客に戦争をリアルに体験してもらう』として約5年の歳月と、3千万ドルの巨額の費用をかけて完成させた。公開時から、、「ハリウッドの最高傑作か」「最大の愚挙か」と賛否両論が渦巻き、評価する側は、「大義なき戦争の暴力と狂気がよく表されている』とし、否定する側は「前半は満点だが、後半は０点」と手厳しい評価をくだしている。。しかし、現在ではアメリカ映画史上重要な位置を占める作品として高く評価され、2007年にアメリカ映画協会が選んだ映画ベスト１００の30位にランクされている。1979年度のカンヌ国際映画祭では作品賞を受賞し、1980年度アカデミー賞では撮影賞、音響賞を得ている。