鑑賞映画解説201321b

鑑賞映画の解説

カサブランカ
Casablanca
＜鑑賞日：2014・2・10＞

制　　　作：1942年　アメリカ　1946年　日本公開　　モノクロ　　103分
監　　　督：マイケル・カーチス
出　　　演：ハンフリー・ボガード、イングリッド・バーグマン
そ　の　他：アカデミー作品、監督、脚本賞受賞

あらすじ

　1941年12月、フランス領モロッコのカサブランカは、戦火を逃れてアメリカに渡ろうとする人々が集まる都市である。彼らはカサブランカから中立国ポルトガルの首都リスボンに渡り、アメリカに亡命するのである。アメリカ人リック（ハンフリー・ボガード）が経営するクラブ「カフェ・アメリカン」には様々な人が出入りしている。その頃、二人のドイツ人特使が殺され、重要書類が盗まれ、ドイツ軍発行の通行許可証を盗んだ男がリックを訪れ、許可証を預けた。そこに、反ナチ運動の幹部、ラズロと妻のイルザ（イングリッド・バーグマン〉が現れた。イルザはかってパリに住んでいた頃のリックの恋人だった。リックはパリ時代を思い返す。パリ陥落の前日、リックはイルザに求婚し、二人は最後のマルセイユ行きの列車に乗ることを約束したが、イルザは姿を見せず、「わけを聞かないでください」と書かれた手紙が残されていた。
　ラズロとイルザの二人は闇でビザを得るためにブローカーのフェラーリに頼むが，1枚しかないと断られる。なんとかもう1枚のビザを得たいと深夜、イルザはリックの店を訪ね、預かった通行許可証を渡してほしいと頼むが、リックは断る。イルザはパリを離れた理由を話し出す。パリでリックと知り合った時、イルザはすでにラズロの妻だった。反ナチ運動の闘士だったラズロが捕えられ、強制収容所で死んだと聞いて失意の底にいた。リックの待つ駅に行く直前、ラズロが生きていると分かったから駅に行けなかったと。そして、イルザは改めて愛を告白する。リックの心は乱れる。自分のために残してある1枚の通行許可証をイルザに渡すか……

解説

　第二次大戦下のモロッコのカサブランカを舞台に、ビザをめぐっての多彩なメロドラマで、巧みに反ナチ的な政治的メッセージを織り込み、1942年度のアカデミー作品、監督、脚色賞を受賞した。『カサブランカ』は1942年5月に撮影が開始され、半年後の11月にアメリカで公開された。
　“カフェ・アメリカン”でのリックとイルザの再会、イルザの瞳は濡れ、その背後に流れる「アズ・タイム・ゴーズ・バイ」（時の過ぎゆくまま）のメロディ。リックの囁く「君の瞳に乾杯」と、霧の飛行場での別れ。戦後、焼跡の生生しい昭和21年に公開されたこの映画の名場面に日本人は酔いしれ、記録的な大ヒットとなった。ハンフリー・ボガードとイングリッド・バーグマンという絶妙の配役がこの作品を永遠の名作たらしめている。ボガードが過去も未来もなく今日だけ生きるニヒルな男を演じ、新たなヒーロ―像を作り上げた。一方、スエーデン生まれのバーグマンは運命に翻弄される美貌のヒロインを見事に演じた。この映画製作時、ボガード43歳、バーグマン27歳であった。