鑑賞映画の解説

ナバロンの要塞
The Guns of Navarone
＜鑑賞日：2014・3・10＞ 
制　　　作：1961年　アメリカ　　157分
監　　　督：ジョン・リー・トンプソン
原　　　作：アリステア・マクリーン
出　　　演：グレゴリイー・ペック、デヴィット・ニーブン、アンソニー・クイン
　　　　　　アンソニー・クエイル、スタンリー・ベイカ−、イレーネ・パパス
あらすじ

　第二次大戦下の1943年。イギリス軍の将兵2000名が、ギリシャのケロス島で孤立した。軍事的にはあまり重要な拠点ではないが、中立を保っているトルコの目の前にある島である。ドイツはトルコを味方に引き込むため、精鋭部隊をもってケロス島のイギリス軍を全滅させる作戦を準備した。その情報を事前に察知した連合軍は、ケロス島に駆逐艦10隻を派遣してイギリスの将兵を救出する作戦を立てた。しかし。隣のナバロン島には最新式の大砲2門が設置され、海峡を睨んでいた。連合軍は空爆による破壊作戦を実行しているが、大砲は洞窟の中に置かれているため、犠牲者は増えるだけで破壊は困難である。まさに難攻不落の要塞であった。その頃、ナバロン島の南の崖だけは、４００フィート(約122ｍ）の垂直の絶壁になっており、誰も登れないということから、見張りの歩哨がいないという情報が地元のレジスタンスから寄せられた。
　そこで、ジェンセン准将とフランクリン少佐は、ナバロン島南部の絶壁をよじのぼり潜入し砲台を爆破する計画を立てた。選ばれたのは登山家のマロリー大尉（Ｇ・ペック）、元ギリシャ軍大佐スタブロス（Ａ・クイン）、科学者のミラー伍長（Ｄ・ニーブン）、ナイフの名人ブラウン通信長（Ｓ・ベイカー）、ナバロン島生まれのパパディモス一等兵（Ｊ・ダーレン）の5人で、計画者のフランクリン少佐（Ａ・クエイル）も同行し、6人がナバロン島に向かって出発した……
解説

　原作はイギリスの作家アリステア・マクリーンが1957年に発表した戦争小説である。この映画は、選ばれた6人の連合軍の将兵が断崖絶壁をよじ登って、島に潜入し、苦難に耐えながら2門の巨砲を爆破するまでをスリルとサスペンスたっぷりにテンポよく描く。ただ、観客をハラハラ、ドキドキさせるだけでなく、6人の将兵の個性をしっかりと描き分け、優れた人間ドラマに仕上げたところがこの映画の魅力でもある。この映画はエーゲ海のロードス島で撮影されたが、海上のシーンは、巨大なタンクに小船を浮かべるという大掛かりなセットを作って、暴風雨の威力を伝え、ロケとセット撮影を一体化して迫真力のある冒険映画に仕上げている。この年のアカデミー賞8部門にノミネートされたが、残念ながら「視覚効果賞」を得たのみであった。