鑑賞映画解説2014051

鑑賞映画の解説

地下室のメロディー
Mélodie en sous-sol
＜鑑賞日：2014・6・9＞

  制　　　作：1962年　フランス　116分
  監　　　督：アンリ・ヴェルヌイュ
　出　　　演：ジャン・ギャバン、アラン・ドロン、ヴィヴィアンヌ・ロマンス

あらすじ

　５年の刑を終えて娑婆に出てきた老ギャンヌのシャルル（ジャン・ギャバン）は、足を洗ってくれと頼む妻のジャネット（Ｖ・ロマンス）の頼みを振り切って昔の仲間のマリオを訪ねる。マリオはある計画を打ち明けた。カンヌのパルム・ビーチにあるカジノの賭け金をごっそり頂こうという大仕事である。しかし、マリオは体が弱っているので参加できないという。仕方がないので、刑務所で目をつけていたフランシス（アラン・ドロン）とフランシスの義兄のルイを仲間に引き入れた。警戒厳重のカジノの金庫室に下りるためには、地下に通じる専用エレベーターに乗り込む必要がある。専用エレベーターが上下する空間には通風孔が繋がっている。シャルルは、カジノの通風孔を通ってエレベーターに至るルートを把握していた。シャルルは現場での仕事の段取りをつけた。まず、フランシスは金持ちの御曹司を装い目当てのホテルに滞在した。カジノの踊り子と親しくなり、フランシスは一般客が立ち入りできないカジノの舞台裏に出入りする口実を設けた。
　週に一度、カジノのオーナーが金庫室から売上金を運び出す日を狙って、計画は実行された。フランシスは空気穴を通ってエレベーターの屋根にかじりついた。金勘定に気を取られている会計係とカジノの支配人の前にマシンガンを持ち、覆面のフランシスが飛び降りた。フランシスは会計係から鍵を奪いシャルルを表から入れた。札束を鞄につめると２人は脱出し、ルイの運転するロールス・ロイスを飛ばした。計画は成功したが、思わぬ誤算が生じた……

解説

　ジャン・ギヤバン(1904～1976)とアラン・ドロン（1935～)の二大スターの初顔合わせによる「フィルム・ノワール」の傑作である。監督はジャン・ギャバンと組んで「ヘッド・ライト」を送りだしたアンリ・ヴェルヌイュ。ヴェルヌイュは二人の人気俳優の性格を対照的に描いて、物語を進行させる。モノクロ映画だが、シャープな感覚でファンキーなモダンジャズを効果的に使い、一級の娯楽映画とした。老ギャング役のジャン・ギャバンは『現金（げんなま）に手を出すな』から約１０年を経て、貫禄も加わり、存在感は一層増している。相方のドロンは撮影時27歳。フランス映画の時代のホープとして登場する。二人はこの後、『シシリアン』（1969年）『暗黒街の２人』（1973年）と共演し、フアンを楽しませた。ヴィヴィアンヌ・ロマンスがギヤバンの女房役で出演し、懐かしい顔を見せている。