鑑賞映画解説201406

鑑賞映画の解説

レ・ミゼラブル
Les Miserables
＜鑑賞日：2014・7・28＞

  制　　　作：2012年　イギリス　158分
  監　　　督：トム・フーバー
　原　　　作：ヴィクトル・ユーゴー
　作　　　曲：クロード＝ミッシェル・シェーンベルク
　出　　　演：ヒュー・ジャクマン、ラッセル・クロー、アン・ハサウエイ、
　　　　　　　アマンダ・セイフライド、エディ・レッドメイン、
　　　　　　　ヘレナ・ボナム＝カーター
　そ　の　他：アカデミー助演女優賞受賞（アン・ハサウエイ）

あらすじ

　時代は１９世紀フランス。パンを盗んだ罪で投獄され、脱獄を重ねたため１９年間投獄されていたジャン・バルジャン（ヒュー・ジャクマン）は仮釈放となるが、教会で再び盗みを働く。警察に捕えられそうになるが、司教の温情で救われ、その真心に打たれて、バルジャンは改心し、マドレーヌと名前を変えて市長になる。そんな彼の素性を疑うのは市長のもとで街の治安を預かる警部のジャベール（ラッセル・クロウ）で、バルジャンの行方を執拗に追う。バルジャンは薄幸の女ファンテーヌ（アン・ハサウエイ)と出会う。娼婦に身を落とし、病に冒された彼女から、テナルディ夫婦に里子にだした娘のコゼットを救ってくれと頼まれる。大金を支払ってコゼットを救ったバルジャンは、パリでコゼットを大切に育てた。時を経て、コゼットは美しい娘に成長した。
　1932年パリ。7月革命によってブルボン朝が倒れた後、フランスは立憲君主制に移行する。ルイ・フィリップの統治下で中産階級の暮らしが豊かになった代わりに、労働者階級や学生たちの間で不満の声が高まり、彼らは革命の機会を狙っていた。学生マリウス（エディ・レッドメイン）もその一人で運動を続けているが、街角で成人したコゼットと出会い、ひと目で恋をする。コゼットも同じ思いである。一方、貧しい暮らしを強いられている人々の不満は一挙に高まり、蜂起の日が近づいた……

解説

　小説「レ・ミゼラブル」をベースに、作詩アラン・ブーブリル、作曲クロード＝ミッシェル・シェーンベルクが全編歌で綴るかたちでミュージカル化した舞台版は1985年の初演以来，各国でロングラン記録を更新中で、世界43カ国、21カ国語に翻訳され、6000万人を超える観客を動員している。舞台のプロデューサーでもあるキャメロン・マッキントッシュが映画化を企画したのが1985年ころで、25年の歳月を経て、ようやく映画化がなされた。監督には『英国王のスピーチ』で2012年にアカデミー監督賞を得たトム・フーバーを起用し、厳格なオーデションを経て、ヒュー・ジャクソン、ラッセル・クロウ、アン・ハサウエイ等の主要俳優を選んだという。監督のトム・フーバーはこの映画の撮影に革命的な手法を用いた。これまでのミュージカル映画は事前に録音した歌をテープで流し、俳優はいわゆる口パクで歌っていたが、この映画では舞台のように俳優が撮影現場で歌い、その生の声を同時録音すると言う画期的な手法がとられた。舞台で歌われた名ナンバーが全曲網羅されており、俳優達はこの過酷な要求によく応え、史上最高のミュージカル映画にしたのである。