鑑賞映画解説201410

鑑賞映画の解説

あなただけ今晩は
Irma la Douce
＜鑑賞日：2014・8・25＞

　制　　　作：1963年　米国　147分
　監　　　督：ビリー・ワイルダー
　脚　　　本：ビリー・ワイルダー、Ｉ・Ａ・Ｌダイヤモンド
　出　　　演：ジャック・レモン、シャーリー・マクレーン、ルー・ジャコビ
　そ　の　他：アカデミー音楽賞（アンドレ・プレヴィン）

あらすじ

　パリの中央市場の側の娼婦街カサノバ通り。警察は賄賂を取って見てみぬふりをしている。子犬を連れた娼婦のイルマ（Ｓ・マクレーン）も娼婦のひとり。ヒモのヒポリートは喧嘩が強く、イルマにも暴力をふるうので、イルマは怯えている。そこへ新米警官のネスター・パトウ（ジャック・レモン）が赴任してくる。ネスターは堅物すぎて、法律違反だと独断で、多数の娼婦を検挙して警察に送りこむ。検挙した客の中に上役がいたので即刻クビになった。クビになったネスターは酒場でヒポリートと喧嘩になり、相手を倒したので、イルマに惚れられてイルマのヒモに収まった。イルマの稼ぎで遊んで暮らせるいい御身分だが、ネスターは毎晩客を取るイルマに焼きもちを焼き、イルマに商売をやめさせようとするが、いやだと言われる。
　そこで酒場のマスターのムスターシュ（ルー・ジャコビ）の入れ知恵で架空の富豪の客「Ｘ卿」を造り、自ら扮装してイルマの客となり、500フランをイルマに払い、イルマは娼婦として客をとらなくて済むように画策した。最初の500フランはムスターシュから借り、その500フランはⅩ郷（実はネスター）がイルマに支払い、イルマからネスターに渡され，万事うまくいくはずだったが、酒場で予定外の出費があってネスターはムスターシュに借金が返せなくなった。イルマの稼ぎ以外に収入のないネスターはイルマに隠れて市場で働くことになった。イルマの寝ている間にネスターは市場で働いていたが、イルマに浮気していると誤解されイルマを怒らせてしまう。また、イルマからイルマをⅩ卿の屋敷に連れて行くように迫られるようになり、ネスターはＸ卿を葬ることにし、セーヌ河にⅩ卿の洋服や傘を捨てたことから、ネスターにＸ卿殺しの容疑がかかり、投獄されてしまう……

解説

　『アパートの鍵貸します』（1960）の主演コンビ（Ｊ・レモン、Ｓ・マクレーン）と主要スタッフ（監督、脚本、撮影、美術、音楽）が再結集し3年後に作った映画である。生粋の娼婦と、真面目一筋の新米警官の組み合わせが妙で、Ｊ・レモンとＳ・マクレーンの魅力をワイルダーは十二分に引き出して、最高のロマンチック・コメデイとした。もとはパリのミュージカルだが、ワイルダー監督は歌を排したドラマとした。その代わり、シャンソンの作曲家アンドレ・プレヴィンに編曲を依頼し、この年のアカデミー音楽賞を得ている。