鑑賞映画解説201415

鑑賞映画の解説

ミスティック・リバー
Mystic River
＜鑑賞日：2014・11・10＞

　制　　　作：2003年　アメリカ　138分
　監　　　督：クリント･イーストウッド
　原　　　作：デニス・ルヘイン
　出　　　演：ショーン・ペン、ティム・ロビンス、ケビン・ベーコン
　そ　の　他：アカデミー主演男優賞：ショーン・ペン、助演男優賞：ティム・ロビンス

あらすじ

　ボストンのイーストバッキンガム地区。ジミー、デイブ、ショーンの3人の少年たちが路上で遊んでいると、警官を装った誘拐犯が現れデイブだけを連れ去り、4日間監禁し、凌辱される。
　25年後、ジミー（ショーン・ペン）は雑貨屋を経営している。デイブ（ティム・ロビンス）は家族とともに、平穏な日々を送っている。ショーンは刑事となってこの地区を担当している。幼馴染みだった3人は、今は疎遠となっている。しかし、一つの大事件が3人を再び結びつけた。
　ジミーの娘ケイティが遺体となって発見された。ショーンは相棒のホワイティとともに捜査の担当になった。事件のあった夜、デイブは血まみれとなって家に帰り、驚いた妻のセレステが問い詰めると、強盗に襲われたので相手を殴り殺したと釈明した。セレステは夫がケイティ殺しの犯人ではないかと不安になり、隠しきれずに、ジミーに夫が犯人だと思うと話した。デイブが犯人と確信したジミーは、復讐を果たすべく、デイブを呼び出す。デイブは少年に悪戯を仕掛けていた男から少年を救うために男を殴り殺したので血まみれになったと言い訳するが、ショーンは納得せず、責めてイエスと言わせてしまう。ジミーはデイブを殺し、川に沈めた。一方、ショーンたちは殺人に使われた拳銃から犯人を割り出し、犯人逮捕に向かう……

解説

　アメリカの作家デニス・ルヘインの同名のミステリー小説をクリント・イーストウッドが監督業に徹して映画化した作品である。一緒に遊んでいた3人の少年の一人が誘拐され、監禁された事件から25年後、思いがけない事件で3人は再会する。被害者の父親のジミー、容疑者となったデイブ、捜査を担当するショーンと立場の異なる3人は対峙する。ショーン・ペン、ティム・ロビンス、ケビン・ベーコンの3人の実力派俳優の渾身の演技は観る者を圧倒する。
　それにしてもこの映画の結末は重く、暗い。クリント・イーストウッドはこの映画で何を訴えようとしたのだろう。1992年に作られた『許されざる者』で彼は「人間は善人と悪人に単純に分けられない」として、悪人の中の善、善人の中の悪を描いた。彼の人間を見る目はこの映画でも変わらない。密告したレイを殺し、その家族に16年間、毎月500ドルを送り続けるジミーの悪と善とは何か。人間とは単純に善と悪に二分化できないということをこの映画ではさらに深く描いている。ラストシーンでパレードを見ているジミーにショーンは指で作った拳銃で撃つ。｢許されざる罪｣を犯しながら法が及ばない罪にショーンは断罪したのである。