鑑賞映画の解説

ナイアガラ
Niagara
＜鑑賞日：2015・2・9＞ 
　制　　　作：1953年　アメリカ　92分
　監　　　督：ヘンリー・ハサウェイ
　出　　　演：マリリン・モンロー、ジョセフ・コットン、ジーン・ピーターズ
　
あらすじ

　ナイアガラ瀑布が目前に臨めるロッジに夫のジョージ・ルーミス（ジョセフ･コットン）と妻のローズ（マリリン･モンロー）が宿泊している。ジョージは朝鮮戦争で戦争神経症となり、精神的に不安定である。妻のローズ（マリリン・モンロー）は、ほかに男ができて夫によそよそしい。そのロッジに新婚のカトラー夫妻が宿泊する。夫のレイ・カトラーと妻のポリー・カトラー（ジーン・ピータース）が観光トンネルの見物に行った際、ポリーは建物の陰でテッドという若い男と抱き合っているローズを目撃する。その夜、戸外でダンスパーティが開かれ飛び入りしたローズがかけたレコード「キス」を聴いたジョージが檄高して、レコードを打ち砕いた。手は血に染まり、ポリーはジョージに同情して手当てをした。翌日、ローズはテッドと連絡して、ジョージを殺そうとしたが翌朝死体となって発見されたのはテッドだった。ローズは驚きのあまり卒倒して入院した。ローズはジョージが生きていることを知り、復讐を恐れて病院から姿を消した……
解説

　マリリン・モンローの本格的主演第一作である。モンローは初め男性雑誌のグラビアページのモデルとして生活費を稼いでいたが、そのセクシーな姿に惚れこんだエージェントの世話で映画界に入る。最初は端役ばかりだったが、24歳の時『アスファルト・ジャングル』のギャングの情婦役が注目を集め、その後、関係のあったプロデューサーにより、53年に『ナイアガラ』の主役に大抜擢された。モンローがこの映画で披露した独特の歩く姿は”モンロー・ウォーク“と呼ばれて評判になり、彼女の名を一気に高めたのである。
　この映画の舞台はナイアガラ瀑布である。瀑布の前のロッジに宿泊しているローズは夫に嫌気がさして、浮気相手の青年に夫殺しを依頼する。夫殺しは失敗し、逆にローズは夫に追われる立場になる。
　本来なら感情移入できる役柄にモンローが演じるのが映画の常道だと思うのだが、この映画では悪女に扮し、夫に殺される損な役割である。むしろ、この映画に登場するもう一組の夫婦のポリー（ジーン・ピーターズ）に監督の視線が移り、後半のドラマの展開はポリー中心となる。役柄の異なる主役が二人となるので、モンローの演技も冴えず、ポリー役のジーン・ピーターズの演技が光る結果となった。しかし、ナイアガラ瀑布の景観描写には圧倒される。題名を『ナイアガラ』としたのも納得できる