鑑賞映画解説201423

鑑賞映画の解説

小説家を見つけたら
Finding Forrester
＜鑑賞日：2015・3・9＞

　制　　　作：2000年　アメリカ　　136分
　監　　　督：ガス・ヴァン・サント
　出　　　演：ショーン・コネリー、Ｆ・マーリー・エイブラハム、ロブ・ブラウン

あらすじ

　ニューヨークのブロンクス。16歳の少年ジャマール（ロブ・ブラウン）は、バスケット仲間にそそのかされて公園に隣接するアパートの一室に忍びこむ。しかし、老人（ショーン・コネリー）がいたのであわてて逃げたが、部屋にリュックを置き忘れてしまう。中には、少年がひそかに書き記した創作ノートが入っていた。やがて、彼のもとに帰ってきたノートには、赤字でぎっしりと批評が書かれていた。批評を読んだジャマールは、老人に文章を学ぼうと老人のアパートに通い始める。
　州のテストで、抜群だったジャマールの成績に目を付けた私立の名門高校から学費免除の条件で転校を薦められ、転校する。文学のクロフォード先生（Ｆ・マーリー・エブラハム）は口やかましい先生で、ジャマールの文章はうますぎるといって、ジャマールが書いたのか疑っている。クロフォード先生は｢23歳の時初めて小説を書いて高い評価を得たウイリアム・フォレスターという作家が、その後、作品をいっさい発表しない理由を考えよ｣という宿題を生徒に出した。ジャマールは、クラスメイトで学長の娘のクレアからフォレスターの著作を借りて、表紙の写真からフォレスターがアパートの老人であることを知った。ジャマールはフォレスターから「完全なる信義の季節｣というタイトルの付いた文章を渡され、タイプすることを命じられ、ここで書いたものは一切外部に出すなと約束させられたが……

解説

　1997年に若者たちの友情と勇気を描いた「グッド・ウイル・ハンティング旅立ち」を監督したガス・ヴァン・サントが隠棲した老作家と文学に才能のある16歳の黒人青年の友情と青年の成長を描いた心温まる人間ドラマである。ジャマールは16歳だが、賢く生きている。本来は、知能も高く、運動神経も抜群の青年であるのに、学校のテストでは目立たぬようにいつも“Ｃ”の成績である。一方、バスケットでは全力を出してプレイをする。それはバスケットの名手は仲間に一目置かれるからである。少年の文学の才能に目を留めたフォレスターは彼の文章に的確な評価を下し、添削までして指導する。いつしか彼の文体も変わってきたので、高校の教師は彼の急速な成長を理解できず、剽窃だとして彼を告発する。この冤罪を晴らすための作文コンテスト発表のシーンは感動を呼ぶ。ジャマールを救うために出席したフォレスターは｢家族の喪失｣という小文を読み、それがジャマールの作と皆に話した時、ジャマールの疑いは晴れたのである。この映画のショーン・コネリーの存在感には圧倒される。ジャマールを演じるロブ・ブラウンは素直で知的な青年を好演した。