鑑賞映画解説2015101

鑑賞映画の解説

最高の人生の見つけ方
The Bucket List
＜鑑賞日：2015・8・24＞

  制　　　作：2007年　米国　　97分
  監　　　督：ロブ・ライナー
　出　　　演：ジャック・ジコルソン、モーガン・フリーマン

あらすじ

　仕事に人生を捧げた大富豪エドワード（Ｊ・ニコルソン）と家族のために地道に働いてきたカーター（Ｍ・フリーマン）は入院先の病院の二人部屋で知り合った。二人は最終診断で、余命は、後6カ月と宣告される。後半年の命をどう生きるか。カーターは大学生の頃を思い出した。哲学の講義で、『バケット・リスト（棺おけリスト）』を作る課題を出されたことがあった。それは、将来自分たちが死ぬまでにやっておきたいことをリストにするというものである。しかし、実現するには障害がたくさんあり、実現できないものが多すぎた。カーターは最終的には48年間続けてきた自動車修理工という仕事のせいで、“棺おけリスト”は実現のチャンスを失ったままであった。一方、エドワードは金は腐るほどあるのに、見舞客は秘書だけという孤独な境遇である。
　二人はそれぞれにこの先のことを考える。カーターのメモした“棺おけリスト”を見たエドワードは興味を示し、二人はリスト作りに取り掛かった。「荘厳な景色を見る」「見ず知らずの人に親切にする」「マスタングの運転」「泣くほど笑う」……とカーターは書いた。エドワードは「スカイダイビング」「ライオン狩りをする」「世界一の美女にキスをする」……と付け加えた。
　そして、二人の生涯最後の冒険旅行が始まった。人生でやり残したことを叶えるために、棺おけに後悔を持ちこまないために、二人の残された時間は6カ月、まだ間に合うのか……

解説

　原題は「棺おけ（バケット）リスト」。人間が亡くなった時、棺おけに何を入れるかではなく、棺桶に入る前に、やりたいこと、見たいもの、体験したいことをすべて書きだすリストで、カーターがまだ学生時代だった頃、哲学の講義で宿題に出され、結局何も実現できずに、空想に終わったリストである。ガンのため余命6カ月と宣告されたカーターは、夢とは知りつつ、改めてリストを書き始めた。同じ病室のエドワードは余命6カ月と知った時、暗然たる思いだったが、カーターの書き散らしたメモから「棺おけリスト」を知り、残された時間を自分達のやりたいと思っていることを叶えるために費やすこと決意する。使い切れないほどの金持ちのエドワードがスポンサーとなって、二人は周囲の反対を押し切って、病院を飛び出し、最後の冒険に出る。「棺おけリスト」は余命6カ月の男の人生の最後の挑戦であリ、ポジティブな生き方である。
　監督のロブ・ライナーは脚本を10ページ読んだだけで、映画化を決意したというが、死に直面した、重い話を、ユーモアを交えて薄め、最後は心温まるヒューマンドラマにした腕はさすがである。そして、この映画の成功はジャック・ニコルソンとモーガン・フリーマンという二人の名優を抜きにしては考えられない。アカデミー賞受賞とノミネートは二人合わせて16回という最高のコンビがこの映画を支え、人間賛歌の映画とした。