鑑賞映画の解説

シェルブールの雨傘
Les Parapluies de Cherbourg
＜鑑賞日：2015・10・26＞ 
  制　　　作：1964年　フランス　　91分
  監　　　督：ジャック・ドミー
　音　　　楽：ミッシェル・ルグラン
　出　　　演：カトリーヌ・ドヌーヴ、アンリ・ヴェルノン、
　　　　　　　ニーノ・カステルヌオーヴォ、マルク・ミシェル
　受　　　賞：カンヌ映画祭グランプリ賞
あらすじ

　イギリス海岸に面したフランス、ノルマンディ地方の港町、シェルブールの雨傘店の娘ジュヌヴィエーヴ（Ｃ・ドヌーヴ）は恋人の自動車修理工のギー（Ｎ・カステルヌオーヴォ）に夢中だが、２０歳のギーに召集令状が届く。入隊の前夜、二人は愛を誓い合い最後の夜を過ごす。その頃、雨傘店は経営不振で、母親のエレリは苦境を乗り切るためにジュヌヴィエーヴと宝石を売りに行き、そこで金持ちの宝石商カサール（Ｍ・ミシェル)と出会う。ジュヌヴィエーヴに一目惚れしたカサールは高い値で宝石を買う。
　アルジェリアの戦場に赴いたギーは便りは少ない。ジュヌヴィエーヴはギーの子を宿していた。不安な気持ちで日々を過ごすジュヌヴィエーヴにカサールが結婚を申し込んだ。カサールはジュヌヴィエーヴの妊娠を知って、生まれてくる子供はわが子として育てたいと申し出てくれた。ジュヌヴィエーヴはカサールと結婚し、パリに住んだ。２年が経ちギーは帰還した。足を負傷し、病院にいたため、ジュヌヴイエーヴに連絡できなかったのである。ギーは雨傘店を訪ねたが、すでに引っ越した後で行方は分からない。ギーと一緒に暮らしていた伯母が死んだ。ギーは長い間叔母の世話をしていた幼馴染みのマドレーヌと結婚した……
解説

　フランス産のミュージカル映画である。アメリカのミュージカル映画と異なって台詞も語るのではなく歌うのである。この映画から“フィルムオペラ”の名前が生まれたという異色のミュージカルである。北フランスの港町シェルブールを舞台に若い男女の恋物語が、ミッシェル・ルグランの曲に乗って、甘く、切なく歌われる。脚本・監督のジャック・ドミーは、かねてから詞と色彩、音楽が調和した作品を作りたいと考え、Ｍ・ルグランと１年間かかりきりで作ったという。この映画は、1964年のカンヌ国際映画祭でグランプリを受賞した。
　清楚な美しさと妖精のような魅惑の瞳を持つドヌーヴはこの映画に出演した時は２１歳。実生活では３年間同棲したロジェ・ヴァデェム監督と別れ、しかも男の子を生み、未婚の母となった。この映画でのジュヌヴィエーブの生き方と不思議なほど重なっている。