鑑賞映画の解説

ドライビング　Ｍiss　デイジー
Driving Miss Daisy
＜鑑賞日：2015・11・9＞ 
  制　　　作：1989年　アメリカ　　99分
  監　　　督：ブルース・ペレスフォード
　原　　　作：アルフレッド・ウーリー
　出　　　演：ジェシカ・タンディ、モーガン・フリーマン、ダン・エイクロイド
　受　　　賞：アカデミー作品、主演女優、脚色、メイクアップ賞
あらすじ

　1948年、アメリカ南部のジョージア州アトランタ。元教師のユダヤ系老婦人のデイジィ・ワサン(ジェシカ・タンディ)は買い物に出かけようと車で家を出る際、運転を誤って隣家の垣根に突っ込んでしまう。それを心配した息子のブーリー（ダン・エイクロイド）はデイジィに運転手を雇うように勧めるが、デイジィは聞く耳をもたない。そんなデイジィのもとに老黒人男性ホーク・コバーン（Ｍ・フリーマン）が運転手としてブーリーに雇われてきた。初めは意固地にホークを拒絶していたデイジーだったが、根負けしてホークが運転する車に乗るようになった。1953年のクリスマスに、読み書きのできないホークに簡単な参考書をプレゼントする。アラバマ州モービルに住む兄の90歳の誕生日を祝うため、ホークの運転でアラバマ州まで出掛けるが、途中、出会った警察官の態度に今なお残る黒人に対する人種的偏見を実感する。
　1963年、長年仕えてきた家政婦のアイデラがテレビを見ている最中に急死するが、ホークが代わりを務め，デイジィは万事にそつのないホークをより一層重宝するようになる。いつしか、二人は何物にも代えがたい強い友情で結ばれていく。1971年、ある朝、いつものようにデイジィ家を訪れたホークは、錯乱しているデイジィを発見する。認知症が突然顕れたのである……
解説

　原作は1988年度のピュリツァー賞を受賞した同名の戯曲で、作者のアルフレッド・ウーリーが映画化の脚本も書いている。1985年に小さな劇場で幕を開けたこの芝居は人気を集め、オフ・ブロードウエイの劇場に進出した。噂を聞きつけた映画プロデューサーのリチャード・Ｄ・ザナック夫妻が劇を見て感激し 即座に映画化を申し入れたという。舞台はアメリカ南部の町アトランタ。頑固で誇り高いユダヤ系老夫人デイジィと黒人運転手ホークとの25年間の心温まる友情を描いたヒューマン・ドラマである。25年の間、劇は大きな事件は起こらない。ただ日常的な出来事の積み重ねが淡々と綴られる。しかし、二人の友情の25年間の軌跡を描いたこの映画は多くの観客に感動を与えた。アカデミー賞では作品、主演女優、脚本、メイク・アップの4部門で受賞した。タンディの良き相方として演技を競ったモーガン・フリーマンは主演男優賞にノミネートされたが惜しくも落選した。主演女優賞を得たジェシカ・タンディは出演時80歳であった。80歳でのアカデミー主演女優賞は最高齢での受賞で、この記録は未だ破られていない。なお、タンディは生涯現役を続け、94年に85歳で亡くなっている。