鑑賞映画解説2015212

鑑賞映画の解説

エデンの東
East of Eden
＜鑑賞日：2016・2・8＞

  制　　　作：1955年　アメリカ　115分
  監　　　督：エリア・カザン
　原　　　作：ジョン・スタインベック
　出　　　演：ジェームス・ディーン、ジュリー・ハリス、ジョン・ヴァン・フリート
　受　　　賞：カンヌ国際映画祭劇映画賞、アカデミー助演女優賞（ジョン・ヴァン・フリート）

あらすじ

　1917年、カリフォルニアの農場経営者アダム（レイモンド・マッセイ）にはアロンとキャル（ジェームス・ディーン）の二人の双子の息子がいる。アダムは兄のアロンのみを信頼し、キャルは自分は父親から愛されていないと悩み、時には反抗的になる。二人の母親のケイト（ジョン・ヴァン・フリート）は死んだと聞かされているが、実は父親と別れて、少し離れた漁港で酒場を経営している。それを知ったキャルは密かに母親に会いに行く。キャルは父親に疎まれているのは自分が母親に似ているからだと思っている。キャルの気持ちを分かってくれるのはアロンの恋人のアブラ（ジュリー・ハリス）だけである。
　アダムはレタスを栽培しており、レタスを冷蔵して長く保存する方法を考え、貨車で市場に輸送中、雪崩が起きて列車が止まり、氷が解けてレタスが腐り、大損害を蒙る。父親の損害を取り戻そうとキャルは母親に資金を借り、ドイツとの戦争を利用して相場で儲け、アダムの誕生日に贈ろうと考える。アダムの誕生日、アロンは恋人のアブラとの婚約を報告し、アダムの祝福を受けるが、キャルの贈り物は戦争で儲けた金はいらないと拒絶される。失望したキャルはアロンへの憎しみから死んだと思っている母親のケイトにアロンを会わせる…

解説

　アメリカのノーベル文学賞作家、ジョン・スタインベックの小説『エデンの東』から監督のエリア・カザンは「第4章父と子」の物語に焦点をあて、聖書の時代から続く親子、兄弟の愛と相克を不変のテーマとして家族のドラマを作った。兄のアロンは父親に愛されているのに弟のキャルは父の愛情を得ようと努めるが、かえって誤解され、孤独感は深まるばかりである。キャルに扮するジェームス・ディーンの反抗と哀願、挑戦と挫折という揺れ動く若者の姿を見て当時の若者は自分の姿に重ねたのである。
　ジェームス・ディーンは1931年1月生まれ。『エデンの東』で彗星のように登場し、この若き俳優により『エデンの東は』不朽の名作となった。しかし、ディーンは1955年、9月30日愛車ポルシェで衝突事故を起こし、24歳でこの世を去った。ディーンは『エデンの東』・『理由なき反抗』(1954)、『ジャイアンツ』(1955)と僅か３本の映画しか残していないが、この３本の光芒は60年を経た今なお消えていない。主題曲のレナード・ローゼン作曲の流麗なワルツは一世を風靡し、今日でも映画音楽の上位にランクされ、多くの人に愛されている。