鑑賞映画解説201522

鑑賞映画の解説

素晴らしき哉、人生！
It's Wonderful Life
＜鑑賞日：2016・2・22＞

  制　　　作：1946年　アメリカ　130分
  監　　　督：フランク・キャプラ
　原　　　作：フィリップ・ヴァン・ドーレン・スターン
　出　　　演：ジェームズ・スチュワート、ドナ・リード

あらすじ

　コネティカット州の小さな町ベドフォードフォールに住むジョージ（Ｊ・スチュワート）という男が、自殺しそうだというので、天国からジョージを自殺させないようにと見習いの天使クラレンスが派遣される。ジョージは世界中を旅行することを夢見ていたが、住宅金融会社社長の父親の急逝でカレッジに行くのをあきらめて、後継社長となり、幼馴染みのメアリー（ドナ・リード）と結婚し、４人の子供にも恵まれ、幸せな日々を送っている。ジョージの心のよりどころは、ベドフォードフォールの勤労者が自分の家を持てるようにすることであった。しかし、儲け主義一方の強欲な銀行家ミスター・ポッターはなにかとジョージを目の敵にして事業を妨害する。
　ある日、ジョージの叔父で、会社の会計を預かるビリーが、ポッターに読みかけの新聞と一緒に８千ドルの大金を渡してしまい、ポッターはそれを猫婆してしまう。８千ドルの大金が紛失したので、その責任をジョージが取らざるをえなくなり、絶望したジョージは自殺を考える。見習い天使のクラレンスは、もしジョージが生まれなかったら、この町の友人や家族がどうなったかを再現して見せる。そして、ジョージがいかに素晴らしい人生を送ってきたかを知らせる。自分がこの世に生まれてきたことが社会に役立っていることを知り、自殺を取りやめる……

解説

　第二次大戦後、復員したフランク・キャプラは、ウイリアム・ワイラー、ジョージ・スティーヴンスの３人で「リバティ映画社」を設立し、芸術的娯楽主義の映画を作ることを目的とした。その第1作をキャプラが担当し、本映画を製作した。キャプラはこれまで『オペラ・ハット』『スミス都へ行く』など理想主義と善意に満ちた心温かい映画を送りだしたが、この映画もまた、キャプラらしい戦後復活第1作である。もし、ジョージがこの世にいなかったら町はどうなっていたのかと見習い天使の提示した社会は、人の心は荒れ果て、すさんだ町になっている。自分の行いが多くの人のためになり、社会の人の役に立っていることを知ったジョージは生きる希望を取り戻す。
　この映画はアメリカ映画協会が選ぶ｢感動の映画ベスト１００｣では第１位、同協会のアメリカ映画ベスト１００」では１１位にランクされている。