鑑賞映画解説201523

鑑賞映画の解説

サンセット大通り
Sunset Boulevard
＜鑑賞日：2016・3・14＞

  制　　　作：1950年　アメリカ　110分
  監　　　督：ビリー・ワイルダー
　脚　　　本：Ｃ・ブラケット、Ｂ・ワイルダー、Ｄ・Ｍ・マーシュマン
　出　　　演：グロリア・スワンソン、ウイリアム・ホールデン、エリッヒ・フォン・シュトロハイム
　受　　　賞：アカデミー脚本、美術（モノクロ部門）、作曲賞

あらすじ

　ハリウッドのサンセット大道りに面するある邸宅のプールに若い脚本家ジョー・ギリス（Ｗ・ホールデン）の死体が浮かんだ。死んだジョーはそのいきさつを語る。シナリオライターのジョーは映画会社へシナリオを持ちこむが、断わられ続きで、貧窮のどん底にあった。ある日、月賦の不払いから自動車会社の取り立て屋から追いかけられたジョーは、サンセット大道りの古びた大邸宅に逃げ込んだ。そこには、サイレント女優の大女優ノーマ・デスモンド（グロリア・スワンソン）が、かっての監督であり、最初の夫だったマックス（Ｅ・Ｆ・シュトロハイム）を執事として過去の夢に生きていた。ジョーが脚本家だと知ると、ノーマは自分が書き上げ、主演を念願している『サロメ』の脚本の推敲を頼み、ジョーを邸に寝泊まりさせるようにした。取り立て屋に追われているジョーにとってその仕事は渡りに舟で、シナリオの推敲をしているうちにずるずると深みにはまっていった。そして、いつしかノーマはジョーを愛するようになっていた。
　ある日、撮影所から電話があった。出演依頼の電話と信じたノーマは喜んで、旧知のセシル・Ｂ・デミルに会いに撮影所に向かった。しかし、要件はノーマ所有のクラシック・カーをビング・クロスビー主演の映画に使わせてほしいとのことであった。ノーマを待つ間、ジョーは顔見知りの脚本部員ベテイ（ナンシー・ネルソン）に出会う。若い、清純なベテイに心惹かれたジョーは二人で脚本を共作する約束をする。彼女の部屋で、毎夜、二人でシナリオ作りを続けるうちに、いつしか二人は結ばれ、それがノーマの知るところとなった……

解説

　“夢の都”ハリウッドの内幕ものは数多くあるが、ビリー・ワイルダーが監督した本映画が最も評価が高い。この映画ほど、忘れられた大スターの悲劇を容赦なく辛辣に描いた映画は他にはあるまい。試写を見たＭＧＭの社長は「何故こんな映画を作ったのだ」とワイルダーを罵倒したというが、それだけハリウッドの現実を浮き彫りにしたのである。この映画の成功は，優れた脚本と演出にあるが、何よりも主演のグロリア・スワンソン本人が投影された大ぶりな演技力が、映画に迫力を与えている。撮影時、スワンソンは53歳、映画のノーマ同様、かっての大スターであり、20年振りの復帰でもあった。相手役のホールデンはこの映画が出世作となり、その後、一気にスターダムに上り詰めた。50年度のアカデミー賞では作品、監督、主演男優、主演女優賞など8部門にノミネートされたが、オリジナル脚本賞など3部門の受賞にとどまった。しかし、ゴールデン・グローブ賞では作品、監督、主演女優賞を贈り、『サンセット大道り』を讃えたのである。