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掲載:2018.6.8

(2018年度)

 毎月の句会で生まれた秀句です

                  ☆北野 一清 選
【金沢区民俳句大会】 2018年6月

   天賞  龍華寺のぼけの封じや薄暑光   國 眼
   地賞  終りなき日々のくらしや走り茄子   他会員
   人賞  ベンツよりひょいと降り立つ祭足袋   他会員

      特選  新しき古き銀座よ夏帽子     他会員
 梅雨まぢか特攻の従兄恋もせで     重 九
 更衣終へ約束の称名寺     他会員
 老いたれど隠居となれず冷奴     とも女
 枇杷たわわ朝日夕陽の雫かな     和 女
【第121回】H30年7月

   天賞  洛中に長刀鉾の辻回し   二 祥
   地賞  弾かれないピアノに届く祭笛   十 九
   人賞  鉾の粽吊るす町家に祈りあり    和 女

 
      特選   谷崎忌着流しくぐる蕎麦暖簾      三 旦
  佐千夫忌に矢切の渡し訪ねけり      一 幸
  偕老やけんかの果の夏の月      重 九
  新妻の日傘差したる手のまぶし      春 駒
  夜もしらみ富士山頂の御来光      勝 美
  あめんぼう変調自在の譜面かな      勇 平
【第122回】H30年8月

   天賞  流星の天にこぼるる草枕   和 女
   地賞  絵灯籠巫女ら火入れの八幡宮   あきえ
   人賞  願いごと言い終えぬ間に星流る    春 駒

 
      特選   縄文の光そのまま星の河      十 九
  シャガールの羊にのって星月夜      三 洋
  コンサート余韻仄かに星月夜      祥 代
  輪唱の指揮棒振りし法師蝉      國 眼
  並べらるやさし瞳の初さんま      勇 平
  赤とんぼみちのくの旅あないせり      勝 美
【第123回】H30年9月

   天賞  営みの火は刹那なり大銀河   和 女
   地賞  阿字ヶ池覗き見をする新松子   一 馬
   人賞  あさまだき夜行列車の銀河濃し    勝 美

 
      特選   宵闇に響きし汽笛「銀河」果つ      春 駒
  億光年先の銀河へ宅配す      勇 平
  鏑矢が銀杏紅葉を射抜きけり      三 旦
  酔芙蓉朝昼夕と色直し      重 九
  天高し筆跡を追ふ書道展      一 梲
【金沢区民俳句大会 吟行会】H30年10月

   天賞   秋高し山羊の親子の小宇宙   二 祥
   地賞  洲崎では立ちのみ屋でも月談議   他会員
   人賞  山粧ふオカピは舌で目を拭ひ     他会員

 
      特選   秋雲の百態映す麒麟の目      和 女
  秋の昼夢をむさぼるコアラの仔      一 幸
  寄る子等に機嫌のポニー秋高し      他会員
  パンダへの径の静寂や木の実落つ      他会員
  秋天やゆらりキリンの首二つ      他会員
【第124回】H30年11月

   天賞  一点に天狼宙の大三角   十 九
   地賞  時雨忌や湖岸の灯火けぶりをり   重 九
   人賞  幾光年隔つ天狼燦然と    一 馬

 
      特選   天狼や歌舞伎の子役初舞台      とも女
  天狼の青き輝き魁夷展      二 祥
  天狼の青き眼光宇宙射る       和 女
  はやばやと酸ヶ湯温泉雪しまく      三 洋
  流行風邪女医はちくりと小言混ぜ      國 眼
  花八つ手百間廊下朝まだき      あきえ
【第125回】H30年12月

   天賞  『理科年表』星座の頁繰る霜夜   一 馬
   地賞  満天の星座を統べる冬北斗   十 九
   人賞  嗚呼平成行く名残りあり除夜の鐘   二 祥

 
      特選   見上ぐれば刻を忘れし冬星座      重 九
  「大吉」と星座占い年の暮      春 駒
  名画座を出てビル街冬銀河      三 洋
  初氷下に眠れる鯉親子      三 旦
  ラグビーの縦横斜に回し蹴り      勇 平
【第126回】H31年1月

   天賞  天象儀はっと目覚むりや寒昴   一 馬
   地賞  水仙花茎一本の立ち姿   和 女
   人賞  寒昴間近に迫る新元号    重 九

 
      特選   老顔に寒紅さして魔女めけり      とも女
  白足袋の見え隠れする老いの艶      十 九
  衣擦れや頬に紅さす冬座敷       二 祥
  難題の一件落着大嚏       勇 平
  初釜や女亭主の加賀友禅      三 洋
【第127回】H31年2月

   天賞  風ひとつ遺伝子目覚む梅真白   和 女
   地賞  帯解き心解きて春夕月   とも女
   人賞  企ては月面吟行春の夢    一 馬

     
      特選   夕畦田コントラバス弾く牛蛙      三 洋
  爺ひよいと室見の岸の白魚舟      國 眼
  陽炎へる「平潟」「野島」を跨ぐ橋       勇 平
  老いの身も心も縮む余寒かな          十 九
  あづまやの裏木戸塞ぐ臥竜梅      二 祥
【第128回】H31年3月

   天賞  彼岸入り大日如来に宇宙見ゆ   勇 平
   地賞  落椿余韻沁み入る磧石   和 女
   人賞  頂きを目指す道端山椿    一 梲

     
      特選   ÅIの宇宙探査や春の星      二 祥
  沈丁花つるし細工に香を移し      一 馬
  涅槃会や赤子に添寝の釈迦如来       三 洋
  三椏の蕾金色銀の雨          あきえ
  春潮の満ちてふくらむ谷津の川      重 九
【第129回】H31年4月

   天賞  夜桜の飛天の舞や狂ほしき   とも女
   地賞  朧月絵筆手中に刻忘る   和 女
   人賞  咲き満ちて位置定まれり君子蘭     國 眼

     
      特選   朧月紅き唇夜会服      三 洋
  朧月ぬつと写楽の大首絵      三 旦
  平成の御代に幕引く朧月        一 馬
  薄墨に瓦浮き立つ朧月          一 幸
  コンサート余韻の一献朧月      勇 平
【第130回】R元年5月

   天賞  竜華寺の牡丹慈愛の傘させり   あきえ
   地賞  白帆曳く地球の軋み夏の潮   和 女
   人賞  夏来る地球半分北半球    一 幸

     
      特選   夏の富士頂きに見る地球かな      一 梲
  早苗饗や白無垢の列祝い唄      春 駒
  泥亀翁偲ぶ牡丹の古刹かな       重 九
  釜利谷の甍の波に薫る風          一 馬
  クルーズ船風に膨らむアロハシャツ      とも女



        
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