26年度秀句へ  24年度秀句へ  分科会TOPへ

掲載:2013.8.2

(平成25年度)

 毎月の句会で生まれた秀句です

                  ☆北野 一清 選

【第71回】H25年7月

   天賞  海の日や海軍「五省」古びざる   一 馬
   地賞  蟇我があばら屋を寝ずの番   三 旦
   人賞  あめんぼう三角函数解きにけり   勇 平

      特選  海の日や地球儀回し喜望峰     二 祥
 海の日や大漁旗たて船帰る     重 九
 海の日や旗翩翻と潜水艦     国 眼
 海の日やオール揃へて波を掻く     一 幸
 ぱつたりと互ひに見合ふ我と蟇     とも女
 油然たる水面の雲を蛇の首     十 九
 源平池葉をぬきん出て古代蓮     好 童
【第72回】H25年8月

   天賞  天翔けて太平洋をごめ帰る   一 馬
   地賞  太平洋しんがりとなる帰燕かな   勇 平
   人賞  かまきりの佛間狭しと這回る   国 眼

      特選  夕蜻蛉仙石原を埋め尽くし     三 旦
 宙に浮く蜻蛉に静止幼の目     とも女
 藤は実に幾百となく垂るる莢     重 九
 蜩や残照惜しむ仁王門     十 九
 盆の月幽かに聞こゆ父母の声     祥 代>
【第73回】H25年9月

   天賞  富士を背に秋鯖漁の伊豆の海   二 祥
   地賞  秋灯下『はだしのゲン』を読み返す   一 馬
   人賞  伊豆の海空澄む先に島七つ   一 梲

      特選  鯊日和釣り舟漕ぎて葉山沖     一 幸
 魚籠の中鯊何回も跳ねゐたり     好 童
 晩鐘の余韻深まる紅葉山     十 九
 秋分や下駄を鳴らして擬声音     国 眼
 彼岸花痺れの切るる読経かな     勇 平
 竹の春あちこちありき報国寺     祥 代
 句作りに四苦八苦する残暑かな     岩 介
【第74回】H25年11月

   天賞  4ノット黒潮疾し冬銀河   国 眼
   地賞  風に和しラインダンスの懸大根   とも女
   人賞  紺青へ舞ふ大鷹の幼鳥   一 馬

 
      特選  黒潮の唄聞く宿の白障子      十 九
 鷹一羽犬吠埼を睥睨す      祥 代
 鷹迅し野鳩めがけて鉤の爪      重 九
 二代目のをんな鷹匠特訓中      勝 美
 槽の中おでんぐつぐつ匂ひ立つ      勇 平
 山茶花のむくなる白さ三島の忌      二 祥
 街そぞろむかし流行の冬着着て      一 幸
 兄の忌や朽葉濡れゐる赤城山      好 童
【第75回】H25年12月

   天賞  父遺す挿絵の多き古日記   とも女
   地賞  吊るしたる鮟鱇捌く若大将   一 梲
   人賞  大海原はるかな島の灯が冴ゆる   勇 平

      特選  海越しに師走の富士や三保の松   好 童
 ビニールを剥がすがごとく切る鮟鱇   一 馬
 泥つきの飛騨の太葱届きけり   二 祥
 称名寺苔を褥の散紅葉   十 九
 降る雪や津軽三味線撥の音   祥 代
 ギネス下駄天狗蹴飛ばす節季かな   國 眼
【第76回】H26年1月

   天賞  嘶きて風疼く中寒立馬   とも女
   地賞  脚迅し子を背負ひたる雪女   一 紀
   人賞  湯気立てて日高の朝の調教馬   三 旦

      特選  雪達磨並ぶ天気図日本海   一 馬
 日本海白き牙むき雪しまく   勇 平
 流鏑馬の直線コース息白し   国 眼
 平潟の海に漂ふ初氷   好 童
 鰤起し大佐渡小佐渡引き寄せて   祥 代
 初春や地蔵の前垂れかはりゐし   勝 美
 弓なりの僧息白く鐘を撞く   十 九
【第77回】H26年2月

   天賞  3Dの幾何学模様浅蜊殻   国 眼
   地賞  爺にんまりバレンタインのチョコレート   とも女
   人賞  地球儀にソチを見付けし二月かな   一 馬

      特選  相模灘サーファーの群れかげろへり    祥 代
 あぐらかき浅蜊舌出す澄まし汁    勇 平
 八景沖櫓を軋ませて浅蜊舟    岩 介
 深川や江戸の名残りの浅蜊飯    好 童
 伸びやかな脚ならびきて浅蜊捕る    十 九
 花桃の膨みたるや稚児の頬    重 九
【第78回】H26年3月

   天賞  春宵や火牛の計の早雲寺   重 九
   地賞  象の鼻ひたひた濡らす春の海   一 馬
   人賞  奥千本西行庵に春惜しむ   岩 介

      特選  夕闇に寄り添ふ影や春の海      一 梲
 春の海見たくてバスの席替はる      祥 代
 見霽かす地蔵の眼春の海      國 眼
 初蝶のひとやすみせし牛の背      十 九
 のどけしや牛よこたへり飾り棚      勇 平
 春霞阿蘇へ仔牛を放ちけり      勝 美
 のどけしや牛の啼き声谺せり      とも女
【第79回】H25年4月

   天賞  船浮かし東京湾に蜃気楼   国 眼
   地賞  流れたきかたちに流れ春の水   祥 代
   人賞  携帯の着信音や入社式   一 馬

      特選  遠霞出船入船東京湾     重 九
 のどけしや釣糸たらし東京湾     勝 美
 しんがりを蜂の旋回ついて来し     勇 平
 朧夜や触れあひ軋む舫舟     一 梲
 残酷の四月を載せて手術台     十 九
 黒塀に味噌の香りや月朧     とも女
【第80回】H26年5月

   天賞  柿の木に蛇ながながと衣脱げり   岩 介
   地賞  篳篥に雅楽の舞や牡丹園   国 眼
   人賞  夕焼けの瀬戸内海に橋の列   勇 平

      特選  渦潮の連れ来し夏や瀬戸の海      祥 代
 退く子身構へる子や檻の蛇      とも女
 蛇の水脈静けき沼の風さわぐ      重 九
 山歩き首をもたげる青大将      一 梲
 八幡の杜噴き上げて楠若葉      十 九
 車椅子ゆつくりめぐる牡丹寺      好 童
 高らかな老鶯の声場を制す      二 祥
 妃に翳す傘の如くに牡丹園      一 馬



        
25年度予定と実績へ