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追記:2015.9.4

(平成27年度)

 毎月の句会で生まれた秀句です

                  ☆北野 一清 選
【第91回】H27年7月

   天賞  未来地図夏のリゾート西之島   一 馬
   地賞  大暑来ぬレンガ倉庫の深き影   勇 平
   人賞  竹節虫の背をやんはり晩夏光   国 眼

      特選  地の鼓動夏の海噴く西の島     和 女
 炎昼下黙々見張る遮断棒     一 梲
 赤錆びし滞船の影晩夏光     とも女
 土用入り関西弁に途切れなし     二 祥
 サラダの日サッカー女子の日焼け顔     一 幸
 子らはしやぐ赤青黄のかき氷     好 童
 夕焼け雲病床に知る夫の愛     重 九
 帆檣の林に沈む西日かな     十 九
 子に添ひて昔話や遠花火     祥 代
【第92回】H27年8月

   天賞  大銀河風神雷神かけ巡る   三 洋
   地賞  槍ケ岳眺めつ踏むや花野径   一 幸
   人賞  夢二の忌化粧直しに立つ女   一 馬

      特選  箒の先ぬけがら一つ時化の朝     勝 美
 盆の月あげたる低き安房の山     岩 介
 秋風や思慮を重ねて手術済む     一 梲
 踊去る胡弓と三味の音残し     とも女
 平和の日七十回目の原爆忌     好 童
 白桃や模様の揃ふガラス皿     勇 平
 裏木戸に楚々と立ちゐる白芙蓉     国 眼
 電柱の陰に身を寄す残暑かな     重 九
 たゆまざる記憶の轍原爆忌     十 九
【第93回】H27年9月

   天賞  秋草を皿に盛りをり呉須の筆   和 女
   地賞  初島の磯の飛沫や根釣人   好 童
   人賞  赤とんぼ止まれこの指母の指   祥 代

      特選  初島の軒にずらりと鯊の竿     勇 平
 初島の空逝く雁に茜射す     一 紀
 稲妻に半跏思惟像指光る     一 馬
 一声の瀬音に透る黄鶺鴒     十 九
 ベランダを独り占めして秋簾     一 幸
 しがみつくコアラの如き榠檐かな     とも女
 曼珠沙華赤き紅ひく女将かな     重 九
 障子貼る見様見真似の餓鬼大将     国 眼
 舟溜り月光浴びて日の出待つ     一 梲
【第94回】H27年11月

   天賞  マフラーの薄手厚手と迷ふ日々   祥 代
   地賞  時雨るるや猿島沖のイージス艦   一 幸
   人賞  肩掛けの翼広げて風の中   和 女

 
      特選  猿島や戦艦の先冬霞      一 梲
 湯豆腐の向かうの妻の笑顔かな      重 九
 阿夫利嶺に参りし後の紅葉鍋      三 旦
 燥ぐ子を宥めるカメラ七五三      とも女
 柴口の牡蠣小屋の灯と騒めきと      一 馬
 「末吉」の大社御籤や初時雨      二 祥
 一灯を深く沈めて冬の闇      十 九
 石蕗日和平潟湾をぶらつけり      勇 平
【第95回】H27年12月

   天賞  松島の松の百態冬茜   とも女
   地賞  ひととせの悲喜こもごもや古暦   あきえ
   人賞  雪しんしん信濃の山河黙すなり   三 洋

      特選  朝まだき雪の松島墨絵かな   二 祥
 松島の島々繋ぐ牡蠣筏   一 幸
 松島の牡蠣を景ごと食らひけり   重 九
 映画見る後に廻せし煤払ひ   祥 代
 冬田打ち一畝ごとに一休み   一 梲
 枝を打つ音透きとほる深山かな   十 九
 子守唄ハミングしつつ菜を洗ふ   勇 平
 枯尾花夕映え色の名残りあり   和 女
 立ち読みの言い分けのごと日記買ふ   一 馬
【第96回】H28年1月
(句会中止)

【第97回】H28年2月
(秀句の選定実施せず)

【第98回】H28年3月

   天賞  大島の流人なぐさむ薮椿   重 九
   地賞  三渓園春景しかと定まれり   一 馬
   人賞  指先のまろき水音春の闇   和 女

      特選  涅槃西風牛人町を眠らせて    あきえ
 待ちわびし船の上なる朧月    一 梲
 春光の溢るる空へ縄梯子    十 九
 風船を風に持たせて追ふ児かな    とも女
 古本の紙の匂ひや春の闇    勇 平
【第99回】H28年4月

   天賞  春泥の団子並べる園児かな   とも女
   地賞  雪解山背後に据ゑて深志城   一 馬
   人賞  雪解川沐浴のひと祈りをり   あきえ

      特選  瀬戸瀬戸に天草五橋春霞     勝 美
 春の宵天草の磁土練り上げり     和 女
 野島山不二山までも陽炎ひて     國 眼
 あどけなき靴の避けゆく春の泥     十 九
 干しわかめ茹でて戻るや海の青     重 九
【第100回】H28年5月

   天賞  利休雨上り虹立つ城ヶ島   十 九
   地賞  日の窓辺獏の住みたる籐寝椅子   和 女
   人賞  被災地へ贈る赤心白い羽根   一 馬

      特選  絶壁にうみうの住処城ヶ島      一 幸
 母の日や母の記憶の割烹着      祥 代
 柏餅届けて見せる背中の嬰      一 梲
 戦無き世祈りて兜飾りけり      とも女
 ぴちぴちと小柴の海の穴子かな      重 九



        
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